さてさて、国立科学博物館で開催中の特別展「生命大躍進」のレポート第二弾をお送りしたいと思います。
レポーターは今回までをPGがつとめます!
◎目が5個もある生き物
カンブリア紀の生物たちはじつにさまざまな形のものがいて、さながら壮大な生物の実験場という感じです。
なかには目が5個もある生物がいました。「オパビニア」という生物です。
目が5個もあって、かえって混乱しなかったのかな
背中に10本くらいの刀みたいなものを立てていた「ウィワクシア」というのもいます。
平たいウニみたいな「チョイア」という生物や、細い体にトゲがたくさん生えた「ハルキゲニア」、ムカデのような「ルオリシャニア」などなどなどなど。みんな小さい生き物ですが、約40種類もの珍しい生物の化石が展示されています。
バージェス頁岩は状態の良い貴重な化石がたくさん出るので、管理が非常に厳しくて一般人は立ち入ることもできないそうです。普通は取材もお断り。今回は本当に特別な計らいなんですね。
これらの化石を日本で見ることができるというのは、とってもありがたいことなんです!
◎カンブリア紀最強伝説
バージェス頁岩やチェンジャンから見つかる生物たちはほとんどが数センチという大きさですが、なんと1メートルにもなる大きな生物がいました。
「アノマロカリス」です!
おそらくこの時代最強の捕食者だったと思われます。
節足動物ですが、精巧な複眼を持っていたことが化石からわかっています。
二つの複眼と、二本のエビの尻尾のような口の器官を持ち、体には両側に多数のヒレがついた、なんとも風変わりな形をしていますが、きっとこの時代の海の中を、我が物顔で泳いでいたでしょう。
これも化石がいくつも展示されていますよ。
◎これが私たちの祖先?!
我々人間は、脊椎動物と呼ばれるグループに入っているわけですが、カンブリア紀には我々の祖先にあたると考えられる動物がすでに登場しました!
今回の展示では「ピカイア」がそれです!
体長4センチほど、小指ほどもないヒモのような生物です。これが祖先
NHKの番組では、このピカイアをCGで登場させていたので、覚えている方も多いかもしれません。
ただ、ピカイアは脊索(せきさく)動物と呼ばれる、脊椎動物の前の段階ですが、チェンジャン化石からは、現時点ではもっとも古い脊椎動物、あるいは最古の魚類といわれるハイコウイクティスという生物の化石が出ています。
なんとこの化石も今回展示されていますよ
◎節足動物 VS 脊椎動物
ちょっと話は飛びますが、またNHKの番組にちょっと乗ってみます。
カンブリア紀にはまだ小さくて弱々しかった我が脊椎動物の祖先たちは、繁栄していた節足動物や他の動物にすっかりやられていた訳ですが、時間が経ってからはどうなったか?
いきなりオルドビス紀とシルル紀をすっ飛ばしてデボン紀にいきます!約1億年後ですね。
ここで節足動物対脊椎動物の戦いがあったとします。
戦うのは、片やシルル紀後期から出現した節足動物の雄「ウミサソリ」、全長約2メートルもあります。
片やデボン紀に出現した脊椎動物の怪物、ヨロイのような頭部と頑丈なアゴ、精巧なカメラ眼をもつ「ダンクルオステウス」全長なんと約6メートル。
※ダンクルオステウスを脊椎動物の代表にしてしまうのはちょっとどうかなという気もしますが細かいことはヌキにしますね。
NHKの番組ではこの対決シーンをCGでやっていました(実際にあったかはわかりませんよ)。
結果はどうか?
我らが脊椎動物のヒーロー「ダンクルオステウス」の圧勝でした!
その理由は、体格の差はもちろんありますが、決定的だったのは「目」の精巧さでした。節足動物の「複眼」よりも、脊椎動物の「カメラ眼」のほうがより正確に見ることができたんですね!獲物との距離を測ったり、大きさや形も正確に把握できたわけです。
会場では実物大模型を使った迫力あるシーンの再現もされています!
もちろん両者とも化石もバッチリ展示されてます!ウミサソリの大きな化石は迫力満点です
◎遺伝子4倍盛り
さてさて、ダンクルオステウスも、ピカイアのような小さいヒモみたいな脊索(せきさく)生物から進化したと考えられるわけですが、いったいなんでそんなスーパーになれたのか。
それにはやはり遺伝子が絡んでいるらしいのです。
ごくごく簡単にいうと、
遺伝子の受け継ぎ方は、通常はオス親から1/2、メス親から1/2ずつもらって1つの遺伝子を受け継いでいくわけですが、
あるとき偶然、オス親から1つまるごと、メス親から1つまるごと、合計2つの遺伝子を受け継ぐ個体ができた。
さらに数世代たって、2つの遺伝子を持つ個体が一定数になった時に、
またまた偶然、オス親から2つまるごと、メス親から2つまるごと、合計4つの遺伝子を受け継ぐ個体ができた。まったく奇跡的に。
遺伝子が増えると、余った遺伝子はやがて別の働きを受け持つようになる。
より優れた体を作るために、ヒレを作ったり、アゴを作ったり、鋭敏な感覚器官を作ったり、そして何よりも大事な「目」を進化させた。
節足動物のウミサソリが昆虫と同じ複眼だったのに比べて、脊椎動物のダンクルオステウスはカメラ眼と呼ばれる、レンズを使って像を作り三次元的に見ることができる精巧な目の仕組みを手に入れていました。
透明な細胞を規則正しく並べたレンズ部分や、一億個以上の受容器を並べた網膜など、「カメラ眼」の複雑で精密な構造は遺伝子が4本あることをフルに活用して作りあげた進化史上まれに見る傑作なんですね。
もちろん目だけでなく、体中のいろんな部位をさらに進化させました。やがて丈夫なヒレができ、それが足になって陸に進出していくのもそうですね。
遺伝子4本ゲットというのは生物大躍進の大きなキッカケだったというわけです
さて、途中すっ飛ばしたところもありましたので、その辺も含めて次のスタッフにバトンタッチしたいと思います。
みなさんぜひ「生命大躍進」、観に行ってくださいね!
そうそう、科博に行ったらミュージアムショプに立ち寄って、ぜひカロラータ商品を見てきてください!
新しいキャップなんかも売ってますよ
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